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相続発生後の流れ

4ヵ月以内に必要な手続き

相続が発生した年には、確定申告書の提出義務のある方が亡くなられた場合、相続人は「所得税の確定申告」を行わなければなりません。なお、消費税の申告が必要な方は、相続の発生があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に申告しなければなりません。

所得税の準確定申告納税申告

準確定申告の必要な方

亡くなられた方のその年の1月1日から亡くなられた日までの所得を計算して、亡くなられた方に納付すべき所得税がある場合、相続人は所得税の申告を行わなければなりません。これを準確定申告といいます。

準確定申告のときに所得から控除される額

医療費控除は、亡くなられた日までに実際に支払った額に限られますので、亡くなられた後に支払った医療費は控除の対象になりません(ただし、相続税の課税価格の計算上、債務として控除することができます)。
社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除の対象となるのは、医療費控除と同じく亡くなられた日までに支払われた額です。社会保険料は、支払った額または給与から差し引かれた額の全額が所得控除できます。生命保険料・地震保険料は、保険料控除の対象となる保険料の一定額が所得控除できます。
そのほかに、配偶者控除や扶養控除などもあります。これらに該当するかどうかの判定は、亡くなられた日の現況によります。
この準確定申告は各相続人の氏名・住所・被相続人との続柄などを記入した準確定申告書の付表を添付し、相続人の住所地ではなく、亡くなられた方の住所地の税務署に提出します。

医療費控除について

次の算式によって計算した金額が医療費控除となります。

総所得金額が200万円未満の場合は、その5%相当額

準確定申告の期限

相続の発生があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に、亡くなられた方の住所地の税務署に所得税の申告を行います。

相続人が2人以上いる場合
各相続人が連名により準確定申告書を提出することになります。その際、各相続人の氏名・住所・被相続人との続柄などを記載した準確定申告書の付表を添付します。ただし、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。この場合には、他の相続人に申告した内容を通知しなければならないことになっています。

相続税の申告と納税納税申告

相続税の申告が必要な方

相続税は、相続財産の総額(注1)から基礎控除額(注2)を控除して課税遺産総額を求め、これを基にして税額を計算します。 したがって、相続遺産の総額が基礎控除額以下であれば相続税は課税されませんので申告も不要です。

(注1)相続財産の総額 =
取得財産の価値の合計額
+ 相続時清算課税適用財産の価格
- 債務および葬式費用の金額
+ 被相続人からの相続開始前3年以内の暦年課税分の贈与財産の価格※
※ただし、贈与時に支払った贈与税は相続遺産から控除されます。

(注2)基礎控除額※=3,000万円+600万円×法定相続人の数

ただし、小規模宅地等についての相続税の課税価格の特例を適用した結果、相続遺産の総額が基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告書を提出しなければなりません。また、配偶者の税額軽減の規定を適用した結果、納付税額がないこととなった場合も相続税の申告書を提出しなければなりません。
申告期限と納付方法

相続の発生があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告します。
例えば、4月1日に亡くなった場合には、翌年の2月1日が申告期限になります。その日が土曜日、日曜日、祝日などにあたる場合は、その翌日が期限となります。
納付方法は原則として、金銭で一時に納付しなければなりません。しかし、それができない場合には、税務署長の許可を受けて「延納」や「物納」にすることもできます。

みなし相続遺産

以下のような財産は亡くなられた方の所有財産ではありませんが、税法の規定により相続税の計算上相続財産とみなされます。

  • 亡くなられた方が被保険者で保険料を負担していた
    生命保険契約などから支払われる死亡保険金
  • 死亡退職金
    相続人が死亡保険金や死亡退職金を受取った場合には、各々「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税になります。

相続の放棄をする場合納税申告

遺産には、不動産や預貯金などの財産よりも借入金のほうが多い場合もあります。このような場合、相続人は亡くなられた方の財産・債務の一切を相続しないとすることができます。これを相続の放棄といいます。また、一定の方(例えば長男や事業を承継される方など)にすべての財産を相続させたい場合にも、ほかの方々が相続の放棄をすることがあります。
相続の放棄は、相続関係を知った日から3ヵ月以内に、家庭裁判所に対し、「相続放棄申述書」により放棄の申述をすることが必要です。この相続の放棄は、相続人が複数いる場合でも単独(1人)で申し立てることができます。

相続の放棄と非課税枠
相続の放棄をすると、通常、相続放棄者は相続税が課税されることはありませんが、生命保険契約の受取人になっていたため死亡保険金を受け取った場合などは、相続税が課税される場合もあります。この場合、相続人に対して適用される生命保険金等の非課税枠は使えませんので注意が必要です。

条件つきで相続をする場合納税申告

亡くなられた方の財産の範囲内でのみ債務を承継するという条件付相続を限定承認といいます。限定承認を受けるためには、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判に対し、「家事審判申立書」により申立をしなければなりません。この限定承認の申立は相続人全員が共同で行う必要がありますので、1人でも同意しない人がいる場合には限定承認はできません。

限定承認
亡くなられた方の財産を換価して債務を弁済し、遺産が残れば相続し、弁済しきれない債務が残った場合には相続人は弁済する責任を負わない制度です。

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