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「換価分割」するか「代償分割」するか

2025.02.01

相続財産が時価3,000万円の土地で、相続人が子供3人。3人ともその土地を必要としていないので、売却して売却代金を3分の1ずつに分けたいというケースがあります。この場合、実務的には「換価分割」と「代償分割」という2つの方法が考えられます。

 

「換価分割」とは、一旦その不動産を相続人全員で共有相続し、その後売却して代金を分ける方法です(便宜上、特定の相続人の単独名義にしたうえで売却する換価分割の方法もありますが、ここでは説明省力)。売却代金の分配は、不動産の共有持分(3分の1ずつ)に応じて行います。

 

一方、「代償分割」とは、その不動産の全部を特定の相続人が単独相続したうえでこれを売却し、売却代金の中から「代償金」を他の相続人に支払う方法です。他の相続人に支払う代償金の額は、それぞれ売却代金の3分の1相当額とするのが基本的な考え方です。

 

ここまでみると、「換価分割」でも「代償分割」でも、最終的に相続人3人ともが売却代金の3分の1ずつの金銭を手にすることができますので、どちらを選んでも問題ないような気がするかもしれません。しかし、実はそうではなく、例えば以下のような違いがあります。

 

①譲渡所得税の問題

 

不動産を売却した場合、売却益に対して譲渡所得税と住民税で通常約20%が課税されます(長期所有の場合)。売却価額が3,000万円だとすれば、税金は約600万円です(取得費及び譲渡費用は考慮せず)。

 

このケースにおいて、「換価分割」による分割を選択した場合は、相続人3人全員が上記の3分の1ずつの確定申告を行い、税金も3分の1の200万円ずつを負担することとなります。つまり、各相続人が売却代金の取り分1,000万円から200万円の税金を支払うため、最終的な手残りは3人とも800万円です。

 

これに対し、例えば長男が不動産を単独で相続・売却して「代償分割」を選択した場合は、長男のみが確定申告を行って600万円の税金全額を負担することとなります。他の相続人は確定申告すら不要です。つまり、売却代金を単純に3分の1にした1,000万円ずつを代償金として長男が他の2人に支払っても、実質的に公平な分配にはならないのです。したがって、このケースでの「代償金」は、『売却代金3,000万円から税金600万円を差し引いた2,400万円』の3分の1である800万円ずつとしておかなければなりません。このようにしておけば、確定申告の手間を除けば「換価分割」でも「代償分割」でも相続人間に特に差は発生しないと言えます。

 

ただし、売却時の譲渡所得税を軽減させる特例として「取得費加算の特例」「マイホームの3,000万円特別控除」「空き家の3,000万円特別控除」などがありますが、これらは換価分割か代償分割かで適用の仕方が変わるため、各相続人の最終的な手残り金額に影響を及ぼします。換価分割の場合は相続人ごとに適用可否が判断されるのに対し、代償分割の場合には単独相続人(前記の例では長男)のみが適用可否を判断され、他の相続人に適用されることはありません。

 

②売却翌年の社会保険料の問題

 

公的保険には、会社員が加入する健康保険、公務員等が加入する共済組合保険、自営業者や自由業者等が加入する国民健康保険や、75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度に大別できます。

 

この中で健康保険や共済組合保険は、不動産の売却で得た所得(売却利益)は翌年の保険料に影響を及ぼしません。ただし、扶養されている配偶者や親族が不動産の売却によって一定の所得を超えると、扶養から外れ、国民健康保険に加入する必要が出てくる場合があります。扶養から外れるか否かは保険者によって異なりますので、保険者への事前確認が必要でしょう。

 

一方、国民健康保険や後期高齢者医療制度の場合には、不動産の売却で得た所得は保険料に影響します。売却翌年の保険料が限度額まで上がったり、また、一時的に現役並所得者として医療費の窓口負担が3割となったりする場合もあります。

 

つまり、相続人の中にサラリーマンと自営業者がいるケースでは、売却翌年の保険料は以下のようになります。

イ)「換価分割」の場合

サラリーマンの保険料は上がらないが、自営業者は上がる可能性が高い。

ロ)「代償分割」の場合

代償金を支払う人が自営業者であれば、保険料が上がる可能性が高い。代償金を受け取る人は、サラリーマンでも自営業者でも保険料に影響なし。したがって、代償金を支払う人がサラリーマンの場合は、全員保険料に影響なし。

なお、保険料が上がった人も、その次の年にはまた元に戻ります。

③所得税法上の扶養の問題

 

「換価分割で売却代金の分配を受ける人」又は「代償分割により不動産を売却する人」が親族の所得税法上の扶養(扶養親族)に入っている場合には、一時的に扶養から外れ、扶養者の所得税が上がる事があります。「換価分割」する場合は全員、「代償分割」する場合は代償金を支払う人は注意が必要です。

 

 

なお、換価分割か代償分割かは、遺産分割協議書(又は遺言書)の文面で判断されます。換価分割では売却益の分配方法さえ決めておけばよいのに対し、代償分割では代償金額を特定して決めておかなければならないとされています。したがって、遺産分割協議書(又は遺言書)に「代償金を支払う」旨の記載がある場合であっても、代償金額が特定されていない場合は換価分割だと認定される可能性があるといえます。

 

 

相続した不動産の売却に際しては、細心の注意が必要です。ぜひ、事前に弊社までご相談ください。お客様のご要望に沿った分割・売却方法の実現をご支援させていただきます。

筆者紹介

江頭 寛
福岡相続サポートセンター 代表取締役社長
上級相続支援コンサルタント

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。

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