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<続>どうなる?マンション節税

2023.11.10

みなさんこにちは。税理士の太田圭子です。

令和5年もあっという間に年末に近づいてきました。

さて、前回レポートしたマンションに係る評価方法の変更について、令和5年9月28日に国税庁からその詳細が発表されました。今回はその内容と今後想定される相続税への影響についてレポートします。

どうなる?マンション節税!<2023年7月10日の記事はこちらをクリック!>

 

1、令和6年以降の相続、贈与から新ルールが適用

新たなルールが適用されるのは令和6年以降の相続や贈与から。新ルールのポイントは以下の通りです。

①マンションの相続税評価額が大幅に上昇!

新ルールでのマンション評価は国税庁が算定した市場価格の6割より低い金額で評価することができなくなります。現行の評価方法でマンションを評価すると、多くのマンションは流通時価の6割未満の評価額となります。例えば東京都の高層マンションでは流通時価の3割程度、福岡の中層マンションでは4割程度で評価できていました。従って、新ルール適用後は評価額が約1.5倍から2倍に跳ね上がってしまうケースが想定されます。

②一棟所有のマンションは対象外

新ルールの対象となるのは3階建て以上の区分所有マンションのみ。一棟で所有する賃貸マンションや、2階建てのタウンハウス、3階建てでも二世帯住宅などは対象外となります。店舗や事業所は対象外ですが、登記上居宅となっている区分所有マンションをオフィスとして使用している場合でも対象となります。

 

2、新ルールの全容

①新ルール適用対象となるは以下の2パターン

A 今までの評価額 > 市場価格 →市場価格まで評価引き下げ

B 今までの評価額 < 市場価格の6割 →市場価格の6割まで評価引き上げ

 

今までの評価額が市場価格の6割以上10割以下のマンションについては今回の新ルールは適用されません。

パターンAの引き下げ対象となるケースは都市では考えにくく、大半のマンションが評価引き上げ対象となることが予測されます。

 

②市場価格はどうやって算定された?

評価の基盤となる市場価格の算出方法は国税庁が定めました。複雑な算式が発表されていますが、簡単にいうと築浅で高層、さらに専有部分が高層階なほど高く算定される仕組みになっています。

但し地域特性や、ブランド力などそのマンション固有の価値については反映されないため、実際は売却困難な不人気リゾートマンションが流通時価より高い評価となってしまったり、人気地区にあり、築古だが値段の下がらないマンションが流通時価の6割以下で評価されるというこも起こりうるでしょう。

 

3、もうマンション節税は使えない?

 

新ルール適用により評価方法が引上げになったとしても、下記の理由により節税効果が無くなることはないと考えられます。

①縮小したとはいえ、流通時価より低く評価されることに変わりはない。

評価減は最大で市場価格の6割に縮小されますが、なくなったわけではありません。

加えて、小規模宅地の特例や賃貸している場合の評価減も以前として適用できます。

 

②市場価格は平成30年中の売買事例により算定された。

実は上記判定に用いる市場価格は平成年30年中の売買事例をもとに導き出されています。従って新ルールの評価下限は平成30年中の時価の6割となり、マンション時価が上昇を続ける地域にあっては、今現在の時価の割より低い金額が評価額の下限になります。( 但し、算式の見直しは適時行われる予定です。)

 

4、今後の対策

今回のルール変更がご自身の財産評価にどのような影響を及ぼすのかを、まずは試算してみましょう。低い評価ができる今年の内にマンションを贈与しようと考える人もいるかもしれませんが、リスクもありますのでまずは専門家に相談の上、検討してください。

 

 

 

 

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筆者紹介

太田 圭子
税理士法人田﨑・太田事務所
税理士

大事な家族を亡くしてから10カ月という期間で申告しなければならない相続税。改正により今後相続税の申告をしなければならない人は増える見込みです。相続税は生前の対策、遺産分割の方法、そして財産の評価方法によって大きく税金が変わってきます。そして相続は相続税だけではなく、財産を相続した人のその後の所得税や消費税、そして無くなった方が法人経営者だった場合などには法人税にも大きく影響を及ぼします。専門家として相続にまつわる税金の悩みを解決するのが私の仕事です。不安を感じている方からお話を聞いて最善の解決策を御提案できれば幸いです。メールマガジンではできるだけ専門用語を使わずわかりやすくて身近な税に関する情報を記事にしていこうと思います。

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