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家族信託の活用について

2016.07.01

大ちゃん先生こと、高橋 大貴です。

「家族信託」の活用が増えてきました。

2007年に信託法が改正されてから、早9年。先駆的に手がけられてきた司法書士の先生が「ようやく、一般に広まりだして、だいぶん言葉が通じるようになってきた」とおっしゃられていました。

私どもも、相続相談で来られた方に、「家族信託」をおススメすることが大変増えてきました。これからも、どんどん広まっていくことでしょう。もはや、相続対策には無くてはならない手法であると言っても過言ではありません。

【 信託 を リンゴの木 で例えると 】

「信託」について、一からお話しすると大変重い話になってしまいますので、今回は「リンゴの木」に例えてみたいと思います。

もともと、リンゴの木はお父さんのものだったとします。リンゴの木を「実がたくさんなるように世話して(管理運営)」、収穫できた「リンゴの実(収益)」で生活していたとしましょう。

お父さんも高齢なので、リンゴの木の世話が大変になってきました。しかし、リンゴの木はお父さんのものなので、ほかの人は勝手に枝葉を切ったり、小さい実を間引いたり、植え替えたりすることはできません。もし、お父さんが認知症になったら、リンゴの木は荒れ放題となり、収穫量も落ちてしまいます。

では、リンゴの木そのものを、子どもに譲ったとしましょう。そうすれば息子がリンゴの世話をして、木の枝葉を切ることなどができるようになります。しかし、「リンゴの実(収益)を得る権利」も子どもに渡ってしまいます。もし、子どもとケンカしたら、お父さんはリンゴの実がもらえなくなるかもしれないのです。

この「リンゴの木を持っている人」しか「リンゴの木の世話をしたり、リンゴの実を得ることができない」というジレンマを解決するのが、「家族信託」なのです。

「家族信託」を活用すれば、「リンゴの木の世話をする人」と「リンゴの実を得る人」を、別々に設定することが可能となります。

【 活用例①:「認知症対策型」の家族信託 】

不動産をお持ちの方に、おススメすることが増えているのが、下記のような「認知症対策型」の家族信託です。

委託者 : お父さん(現在、賃貸アパート所有→息子を信じて不動産を託す)

信託財産 : 賃貸アパート(と いくらかの金銭)

受託者 : 息子(お父さんに信じて託されたので、ただ働きする)

受益者 : お父さん(今まで通り、家賃収入はお父さんのためにしか使えない)

信託終了要件 : 委託者 兼 受益者(お父さん)の死亡

信託終了後の残余財産帰属権利者 : 息子(お父さんがなくなったら息子名義へ)

お父さんは、年金と賃貸アパートの収入で暮らしています。

これから先、お父さんがもし認知症になってしまうと、アパートを人に貸すことや、必要な工事を発注すること、お金に困ったときにアパートを売ることなど、一切の法律行為が行えなくなります。お父さんの生活自体が成り立たなくなる危険性があるのです。

しかし、アパート自体を息子に譲るとなると、贈与(無償譲渡)なら贈与税、売買(有償譲渡)なら建物の価値分のお金のやり取りが必要です。(親子間でも他人に売る時と同等の価格で売買しないと「低額譲渡」とみなされ、贈与とみなされる可能性があります)

また、アパートの収入は、新所有者である息子のものとなりますが、お父さん的には「本当に自分の介護費や治療費を払ってくれるだろうか?自分を養ってくれるだろうか?」という一抹の不安が残ります。

これを解決するのが、「家族信託」です。

家族信託を契約しておけば、アパートを貸すことや、不動産会社とのやり取り、万が一のときのアパートの売却なども、受託者(信じた託された家族)である息子が判断し、決定することができるようになります。

合わせて、その収益(アパートの収入や、アパート売却時の手残りなど)は、受益者であるお父さんのものとなりますので、お父さんが存命の限りは、お父さんのためにしか使うことはできません。これでお父さんも安心です。

このように、不動産所有者の「意思決定する権利」と「収益を得る権利」を、「家族信託」なら二つに分離することができるのです。

【 その他、様々な形の家族信託があります 】

家族信託は、その他にもさまざまな活用法が見出されています。今後、少しずつ「家族信託の活用例」を皆さんに発信していきたいと思います。今後のメルマガにもご期待ください。

また、具体的に「家族信託」や「遺言書」などについて相談されたい方は、事前予約制にて承っております。早めにお問い合わせ頂ければ幸いです。

以上

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筆者紹介

高橋 大貴
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相続コーディネーター

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