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あなたからの『未来へのプレゼント』~遺言による遺産の寄付~

2024.09.01

少子高齢化や価値観の変化を背景に、いわゆる「おひとり様」が激増しています。2020年の国勢調査によれば、50歳時点で婚姻経験のない「生涯未婚率」は、男性では28.3%、女性では17.8%です。平成初期の生涯未婚率が男女ともわずか5%程度であったことを考えると、この30年間での激増ぶりに驚かされます。この傾向は今後も間違いなく続くでしょう。

相続人が不存在であれば、遺産は原則国庫に帰属です。したがって、国以外のところに自分の財産を遺したければ、遺言書の作成は必須。そんな「おひとり様」の中には、「自分が亡くなったら財産(の全部又は一部)をどこかに寄付したい」という意向をお持ちの方も多く見受けられるようになりました。これを『遺贈寄付』といいます。また、「おひとり様」だけではなく、実はご家族をお持ちであっても財産の一部を遺贈寄付したいという方が増えています。社会貢献に対する意識が社会全体に高まってきている証ではないでしょうか。

遺贈寄付は、あなたが人生の最後に残す『未来へのプレゼント』です。ただし、そこには税務・法務の両面で幾つかの注意点があり、それらを正しく理解したうえで寄付の意思を残さなければ、残念ながら必ずしも喜ばれるプレゼントにはなりません。

そこで、今回は遺贈寄付の注意点について代表的なものを挙げてみます(「相続財産から相続人が寄付」「信託契約による寄付」等も広義の遺贈寄付ですが、ここでは「遺言による寄付」に絞って説明)。

 

①受遺者(寄付先)に課される相続税・法人税

相続税の納税義務者は個人です。したがって、法人に遺贈寄付をした場合、相続税の負担を不当に減少する結果となると認められる場合でない限り、原則としてその法人に相続税は課税されません。こうした法人への遺贈は、その分だけ相続税の課税対象財産を減らすことになるため、相続税の節税にも繋がります。また、寄付先が国や地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人などの場合には、相続人が相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に行う「準確定申告」において、遺贈した金額を寄付金控除の対象にすることができ、所得税の節税にも繋がります。

ただし、寄付先である法人は無償で資産を譲り受けることになるため、その資産の価額を収益の額として法人税が課税されます。例外的に、公共法人や公益法人等については、その寄付について法人税の課税は生じません。つまり、公共法人や公益法人等に対しては、相続税・法人税のどちらの負担もなしに遺贈寄付が可能ということです。

他方、寄付先が個人や法人格を持っていない団体(以下、「個人等」)の場合には、原則としてその個人等には相続税が課税されます。ただし、その個人等が公益的な事業を行っている場合には、非課税になることがあります。

つまり、法人に寄付をした場合と個人等に寄付をした場合とでは、原則と例外が逆になるということになります。

 

②遺贈者(被相続人)に課されるみなし譲渡所得税

譲渡所得の起因となる資産(不動産や株式等)を遺贈したときは、その遺贈財産は時価で譲渡したものとみなされ、含み益があれば遺贈者(被相続人)に譲渡所得税が課税されます。

遺贈には、「金300万円を遺贈する」というように財産を具体的に特定して渡す『特定遺贈』と、「全財産(の3分の1)を遺贈する」というように財産の全部又は一定の割合を指定して渡す『包括遺贈』があります。特定遺贈の場合は相続人が譲渡所得税の納税義務を承継します。相続開始後に相続人が行う準確定申告で納税をしなければならないということです。不動産や有価証券などの財産は寄付先に移転するにも関わらず、納税義務だけは相続人が負うこととなるため、相続人の納得感が得られずにトラブルが起きやすくなります。したがって、相続人には遺言で譲渡所得税額以上の金銭を承継させるようにしておく必要があるでしょう。あるいは、受遺者である寄付先が譲渡所得税を負担する旨を遺言書に記しておくことも考えられます。

包括遺贈の場合は受遺者である寄付先が譲渡所得税の納税義務者となることから、特定遺贈の場合のような相続人とのトラブルは生じません。ただし、寄付先が受け取った財産をその後スムーズに売却できればそれで得た金銭で譲渡所得税も支払えるのでいいのですが、できなければ納税資金をどう調達するのかという問題が残ります。また、包括遺贈の受遺者は相続人と同じ法的義務を負うため、被相続人が所有していたプラスの財産だけでなくマイナスの財産も承継することになります。そのため、受遺者は被相続人の財産債務を精査しなければ遺贈を受けることが難しくなります。そのようなことから、包括遺贈による寄付を基本的に受け付けていないところも数多くあります。

なお、国や地方公共団体への遺贈の場合は、何らの手続きを要することなく譲渡所得税は課税されません。また、公益法人等に対する遺贈で一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについても、譲渡所得課税は発生しません。

 

③不動産を寄付する場合の注意点

不動産の遺贈寄付の場合は、前記の譲渡所得税以外に原則として受遺者に登録免許税と、特定遺贈では不動産取得税の負担も生じます(例外あり)。また、受け入れた不動産は直接事業に活用するか、難しい場合は売却して金銭に換えることになりますが、最悪の場合は活用も換価もできないことがあり得ます。そのような問題から、不動産の遺贈寄付そのものを受け付けていないところも数多くあります。

 

不動産そのものの寄付ではなく、相続開始後に不動産を換価して譲渡所得税やその他の経費を差し引いた残額を寄付する旨を遺言で定めておくことも考えられます(清算型遺贈)。この場合は、一旦相続人が相続登記をしたうえで売却活動を行わなければなりませんが、相続人が遺贈寄付を快く思っていない場合は、スムーズに事が運ばない可能性があります。この点、遺言執行者がいれば、相続人に代わって登記や売却の手続きを行うことができます。したがって、遺言書の中であらかじめ遺言執行者を定めておくことが不可欠となります。

いずれにしても、金銭と違って不動産の遺贈寄付に関しては様々な問題が生じやすいため、生前に寄付先と十分な協議を行っておくことが必須となるでしょう。

 

④相続人に対する遺留分侵害

遺贈者に兄弟姉妹(及び甥姪)以外の相続人がいる場合は、その遺留分に注意を要します。遺言寄付することによって相続人の遺留分を侵害することとなるときは、寄付先に対して遺留分侵害額請求権を行使されるおそれが生じるからです。その際には、遺留分額の算定等で、相続人と寄付先との間で争いになるケースもよくみられます。せっかく社会貢献等を目的とした遺贈寄付をしたのにも関わらず、それが原因で争いが生じては目も当てられません。遺言書の作成時には、その点の配慮が不可欠です。

遺贈寄付をする場合には、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言によって公証人からの意思確認を積極的に受けておくことをお勧めします。また、相続人がいる場合はあらかじめ相続人の理解を得ておく方が無難ですが、寄付の動機や社会貢献に対する思いなどを付言事項として遺言書に記しておくのも一つの手でしょう。

なお、当然ながら寄付が実現されるのは遺贈者の相続開始後です。寄付を確実に実行してもらうためには、やはり第三者の遺言執行者を指定しておくことが望ましいといえます。

遺贈寄付は、何百万円、何千万円と高額でなければならないというものではありません。少額であっても立派な寄付です。また、あくまでも『自分が亡くなったときに財産が遺っていたら(その全部又は一部を)寄付する』という意思を表明しておくだけのものであり、遺すことを相手に確約するものではありません。自分の老後資金を削ってまで無理をして財産を遺す必要は全くなく、その点でも安心です。

あなたも、遺贈寄付という形の、あなたなりの『未来へのプレゼント』を考えてみませんか。応援したいと思える分野(「子供支援」「動物支援」「医療支援」「環境保護」「災害復興」など)や地域(「地元」「日本国内」「世界中」など)を絞って、自由に寄付先を選んでプレゼントすることができます。

弊社では、一般社団法人日本承継寄付協会が認定する承継診断士を抱え、遺贈寄付に関するご相談の受付からその実現のサポートまでを積極的に行っています。いつでもご遠慮なくご相談ください。

筆者紹介

江頭 寛
福岡相続サポートセンター 代表取締役社長
上級相続支援コンサルタント

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。

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